サステナブルなオフィス家具で実現する環境配慮型オフィスとは?
- 康平 鈴木
- 10月28日
- 読了時間: 6分
企業の社会的責任(CSR)がますます重要視される現代において、オフィスづくりも「環境配慮」の視点を持つことが不可欠になっています。特に、オフィス移転や内装の変更を検討されているご担当者様の中には、「エコオフィス」という言葉を耳にする機会も増えているのではないでしょうか。
そこで注目されているのが、サステナブルなオフィス家具です。サステナブル家具は、単なるデザインや機能性だけでなく、製造過程や素材、そして廃棄に至るまで環境に配慮して作られた家具のこと。今回は、サステナブル家具を取り入れることで実現できる環境配慮型オフィスのメリットや、具体的な選び方、導入のポイントについて詳しくご紹介します。
なぜ今、サステナブルなオフィス家具が選ばれるのか?
サステナブルなオフィス家具の需要が高まっている背景には、以下のような理由があります。
1. 環境への配慮が企業の価値を高める
環境問題への意識が世界的に高まる中、企業活動においても環境負荷を減らす取り組みが求められています。サステナブル家具の導入は、企業の環境へのコミットメントを明確に示し、ステークホルダーからの信頼向上に繋がります。これは、単なるコスト削減だけでなく、企業のブランドイメージ向上や、優秀な人材の確保にも好影響を与えます。
2. 働く人の健康と快適性を守る
従来の家具には、シックハウス症候群の原因となる化学物質(ホルムアルデヒドなど)が含まれていることがあります。サステナブル家具は、再生可能な素材や自然素材、VOC(揮発性有機化合物)を極力含まない塗料を使用するなど、働く人の健康に配慮して作られているものが多く、より安全で快適なオフィス環境を実現します。
3. コスト削減と経済的メリット
サステナブル家具の中には、耐久性が高く、長く使い続けられるように設計されているものが多くあります。これにより、頻繁な買い替えが不要になり、長期的なコスト削減に繋がります。また、環境配慮型の家具や建材を導入することで、グリーンビルディング認証などの取得が容易になるケースもあり、これは企業の経済的価値を高める一因となります。
環境配慮型オフィスを支えるサステナブル家具の選び方
では、具体的にどのような基準でサステナブル家具を選べばよいのでしょうか。ここでは、特に重要な3つのポイントをご紹介します。
ポイント1:素材と製造工程
家具の「サステナビリティ」を考える上で、最も重要なのが素材です。
再生可能な素材(リサイクル・アップサイクル):再生プラスチックや再生アルミニウム、古紙など、すでに使用された資源を再利用した素材を選ぶことで、新たな資源の採掘を抑制できます。例えば、再生ペットボトルから作られたフェルト素材のパーティションや、リサイクルアルミニウム製のチェアなどがあります。
認証された木材:木製家具を選ぶ際は、FSC認証やPEFC認証など、持続可能な森林経営のもとで生産された木材を使用しているか確認しましょう。これにより、違法伐採を助長することなく、森林資源を保護することに貢献できます。
自然素材と非化学的素材:竹やコルク、麻など、成長が早く再生可能な自然素材も注目されています。また、接着剤や塗料に化学物質を極力使用せず、自然由来のものや水性塗料を使っているかどうかも重要な判断基準です。
ポイント2:耐久性と修理のしやすさ
「長く使えること」もサステナビリティの重要な要素です。
耐久性の高いデザインと構造:流行に左右されないシンプルで普遍的なデザインは、飽きが来ず長く愛用できます。また、パーツごとに交換や修理が可能な構造になっている家具は、一部が破損しても全体を廃棄する必要がなく、経済的にも環境的にも優れています。
メーカーのアフターサービス:購入後の修理サービスや部品供給体制がしっかりしているかも確認しましょう。メーカーが製品の「ライフサイクル」全体を考慮しているかどうかは、その製品が本当にサステナブルであるかを見極める上で大切な指標となります。
ポイント3:製造地と流通
家具がどこでどのように作られ、運ばれてくるかというサプライチェーンも、環境負荷に大きく影響します。
地産地消(ローカル生産):できるだけ近くで製造された家具を選ぶことで、輸送にかかるエネルギー消費(二酸化炭素排出量)を削減できます。日本の企業であれば、国内のメーカーや工房が製造した家具を選ぶのも一つの方法です。
サステナブル認証の有無:製品自体だけでなく、製造している企業がISO14001(環境マネジメントシステム)などの国際的な認証を取得しているかどうかも、その企業の環境配慮への真剣度を示す指標となります。
サステナブル家具導入で実現するオフィスデザイン事例
ここでは、サステナブル家具を取り入れた「エコオフィス」の具体的なイメージをご紹介します。
事例1:天然素材を活かした温もりのあるワークスペース
FSC認証の木材を使用したデスクやシェルフを基調とし、リサイクルされた羊毛や麻、再生ペットボトルから作られたテキスタイルのチェアやソファを配置します。照明も、再生ガラスやリサイクルアルミニウムで作られたものを選ぶことで、空間全体に統一感が生まれます。これにより、自然の温かみと安心感を感じられる、居心地の良いオフィスが実現します。
事例2:サーキュラーエコノミーを体現するオフィス
サーキュラーエコノミーとは、製品を「使い捨て」にするのではなく、資源として循環させる経済の仕組みです。この考え方をオフィスデザインに取り入れます。例えば、既存のオフィスで使用していた家具をアップサイクル(より価値の高いものに作り変える)したり、メーカーが提供する家具のサブスクリプションサービスやリースサービスを利用したりする方法があります。これにより、オフィス移転の度に大量の廃棄物を出さずに済み、スマートなオフィスづくりが可能になります。
環境配慮型オフィスへの移行を成功させるためのステップ
サステナブルなオフィスづくりは、家具選びだけで完結するものではありません。全体的な計画を立てることで、より効果的に進めることができます。
ステップ1:現状の把握と目標設定
まずは、現在使用している家具やオフィス全体のエネルギー消費状況など、現状の環境負荷を把握します。その上で、「CO2排出量を〇%削減する」「廃棄物をゼロにする」など、具体的な目標を設定しましょう。
ステップ2:情報収集とパートナー選び
サステナブル家具を専門に扱うメーカーや、環境配慮型オフィスデザインを得意とする内装会社に相談することも有効です。専門家と協力することで、自社のニーズに合った最適なソリューションを見つけることができます。
ステップ3:従業員の巻き込みと意識向上
新しいオフィスが「なぜサステナブルなのか」を従業員に共有し、環境配慮の重要性を理解してもらうことが大切です。例えば、社内ワークショップを開催したり、サステナブルな素材で作られた家具のストーリーを紹介したりすることで、従業員自身のモチベーション向上にも繋がります。
未来につながるオフィスづくりを
サステナブル家具の導入は、単に「環境に優しい」というだけでなく、企業のブランド価値を高め、働く人の健康を守り、長期的なコスト削減にも繋がるなど、多岐にわたるメリットをもたらします。
オフィス移転や内装変更は、企業が社会に対してどのような価値観を持っているかを示す絶好の機会です。この機会に、サステナブルなオフィス家具を取り入れることで、エコオフィスという新しい働き方の形を実現し、未来につながるオフィスづくりを始めてみてはいかがでしょうか。

